障害と死亡に対する給付
この節では、性格の違う2つの給付をまとめて扱います。葬祭料は葬儀を行った人に対する給付、介護補償給付は重い障害が残った人の介護費用に対する給付です。
どちらも計算の形が独特です。葬祭料は「いずれか高いほう」、介護補償給付は「実費だが上限と最低保証がある」。この2つの型を押さえれば十分に得点できます。
簡単にいうと
遺族への給付ではありません。実際に葬儀を行った人に出るお金です。
葬祭料は、労働者が業務上死亡した場合に、葬祭を行う者に対して支給されます。
ここでいう葬祭を行う者は、死亡した労働者の遺族に限定されません。したがって、たとえば社葬が行われた場合に、条件を満たせばその会社に対して葬祭料が支給されることもあり得ます。
この点は、遺族補償給付との大きな違いです。遺族補償給付では、生計維持関係があるかどうか、どの続柄かといったことが細かく問われました。ところが葬祭料には、生計維持や生計同一といった要件が一切ありません。
試験でも『葬祭料の受給権者には、いわゆる生計維持や生計同一といった要件はない』という記述が正しいものとして問われています。そもそも遺族にすら限定していないのだから、生計要件を問う余地がない、と理解しておきましょう。
身寄りのない労働者が亡くなった場合に、会社や知人が葬儀を執り行うことがあります。そうした場合でも葬祭にかかった費用が補われるように、受給できる人の範囲を広く取っている制度です。
具体例
身寄りのない従業員が業務上の事故で亡くなり、勤務先が社葬を行った場合、その会社が葬祭料の支給を受けることがあります。
試験のポイント
簡単にいうと
2つの式を計算して、高いほうを採用します。両方を足すのではありません。
葬祭料の額は、次の2つのうちいずれか高い額です。
・315,000円 + 給付基礎日額の30日分
・給付基礎日額の60日分
2つを見比べると、どちらが高くなるかは給付基礎日額の水準で決まることが分かります。給付基礎日額が低い人ほど1つ目の式が有利になり、高い人ほど2つ目の式が有利になります。
仕組みとしては、1つ目の式にある315,000円が最低限の底上げの役割を果たしています。給付基礎日額が低くても葬儀にかかる費用はそれほど変わらないので、定額部分を置いて実情に合わせているわけです。
注意点は2つあります。1つは、両方を合算するのではないこと。もう1つは、実際に葬儀にいくら使ったかという実費とは関係なく、この計算式で決まるということです。
具体例
給付基礎日額が8,000円なら、315,000円+24万円=555,000円と、8,000円×60日=48万円を比べて、高いほうの555,000円が支給されます。
簡単にいうと
介護補償給付は、誰でも受けられるわけではありません。入口が3つの条件で絞られています。
介護補償給付の支給を請求するためには、次の3つの要件をいずれも満たすことが必要です。
・障害補償年金又は傷病補償年金の受給権者であること
・一定の常時又は随時介護を要する状態にあること
・現に常時又は随時介護を受けていること
1つ目は入口の絞り込みです。介護補償給付は単独では出ません。重い障害に対する年金を受けている人に上乗せされる給付という位置づけです。
2つ目は状態の要件、3つ目は実際に介護を受けているという事実の要件です。介護を要する状態にあっても、現に介護を受けていなければ支給されません。実費を補う趣旨の給付だからです。
試験では『傷病補償年金を受ける者には、介護補償給付は行わない』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。介護補償給付は、障害補償年金または傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が所定の要件に該当する場合に、その請求に基づいて行われます(法12条の8第4項)。傷病補償年金の受給者も、きちんと対象に含まれています。
具体例
簡単にいうと
実費が原則ですが、青天井にはしません。逆に、家族が介護する場合の下支えもあります。
介護補償給付は、基本的には介護にかかった実費を月額で支給するという趣旨で制度化されたものです。
ただし、介護業者のサービス内容によって金額は大きく異なるため、上限額が設けられています。実際に支払った額であっても、この上限を超えて支給されることはありません。
一方で、親族による介護が行われた場合にも、一定の額が支給されます。これを最低保証といいます。家族が介護をすれば外部への支払いはほとんど発生しませんが、それでも介護という負担は現に生じているため、下支えの仕組みが用意されているわけです。
ここで押さえておきたいのが、最低保証が適用されるタイミングです。親族による介護の場合における最低保証は、2か月目から適用となります。介護を開始した月には最低保証はされません。
上限額があるので支給される額には天井があり、最低保証があるので床もある。ただし床のほうは初月には効かない、という3点セットで覚えてください。
具体例
同居の家族が介護を担っているケースでは、介護を始めた月は実際に支出した額に応じた支給にとどまりますが、翌月からは最低保証の額が確保されます。
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試験のポイント
傷病補償年金の第1級を受けているさとるさんが、日常的に家族から常時介護を受けている場合、介護補償給付の請求ができます。
試験のポイント
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