賃金と退職金を守る仕組み
退職金は法律で義務づけられた制度ではありません。それでも大企業の多くは払っています。中小企業が同じことをしようとすると、原資を長期にわたって積み立て、管理し、運用しなければならず、そこがハードルになります。
中小企業退職金共済法は、その仕組みを外部の機構が引き受けるという解決策です。目的条文にある「中小企業者の相互扶助の精神」という言葉が、この制度の性格をよく表しています。
簡単にいうと
目的条文には2つの目標が並んでいます。
この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基き、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的としています。
目的の後半に2つの目標が並んでいる点が特徴です。
・これらの従業員の福祉の増進
・中小企業の振興
従業員を守るだけの法律ではありません。退職金制度を持てるようになれば人材を集めやすくなり、中小企業そのものが強くなる、という発想が入っています。最低賃金法の目的に「事業の公正な競争の確保」が入っていたのと似た構造です。
「中小企業者の相互扶助の精神に基き」という言葉も重要です。国が丸ごと面倒を見るのではなく、中小企業者が拠出し合って支える仕組みだということを示しています。
退職金共済制度は、独力では退職金の原資を積み立てて管理・運用することが困難な中小企業が、大企業と同様に退職金を支払うことができるように設けられたものです。
具体例
従業員15人の設計事務所でも、機構に掛金を納めることで大企業並みの退職金制度を用意できます。
試験のポイント
簡単にいうと
退職金を払うのは会社ではなく機構です。ここが制度の肝になります。
制度の仕組みは次のようになっています。
・中小企業者が独立行政法人勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を締結する
・中小企業者が同機構に掛金を納付する
・従業員(被共済者)が退職したときに、その従業員に対して、機構から退職金が支払われる
注目したいのは、退職金が会社から従業員へ払われるのではなく、機構から従業員へ直接払われる点です。
この流れには意味があります。会社が倒産しても、機構が預かっている掛金は残ります。退職金が会社の資金繰りに左右されないということです。賃金支払確保法の退職手当の保全措置が努力義務にとどまっていたのに対し、こちらは仕組みそのもので確保しているという関係になります。
登場人物の呼び名も押さえておきます。
・掛金を納める側 … 中小企業者
・退職金を受け取る側 … 従業員(被共済者)
・間に入って管理・運用し、支払う主体 … 独立行政法人勤労者退職金共済機構
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従業員のことを「被共済者」と呼ぶのは、共済制度の受益者だからです。
具体例
共済に加入している会社が倒産しても、退職した従業員は機構から退職金を受け取れます。
試験のポイント
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