働く時間と健康を守る法令
過労死等防止対策推進法は、過労死等が多発し大きな社会問題となっていること、そして過労死等が本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑みて作られた法律です。
短い法律ですが、条文が定義する「過労死等」の中身と、国・地方公共団体・事業主・国民という4者の責務の語尾が問われます。どちらも並べて覚えるタイプの論点です。
簡単にいうと
死亡だけではありません。生きていても含まれます。
過労死等とは、次のものをいいます。
・業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患
・精神障害
定義の構造を分解すると、前半2つが死亡、後半2つが死亡に至っていない疾病・障害そのものです。名前は「過労死」ですが、死亡していなくても該当するということになります。
原因の書き分けにも注意が必要です。
・脳血管疾患・心臓疾患 … 業務における「過重な負荷」による
・精神障害 … 業務における「強い心理的負荷」による
身体のほうは負荷の重さ、心のほうは心理的負荷の強さで表現されています。労災保険の認定基準の考え方と対応した書き分けです。
目的は、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することとされています。
「調査研究等について定めることにより」という手段が明記されている点も特徴です。直接的な規制ではなく、実態を明らかにして対策につなげるという設計になっています。
具体例
長時間労働が原因でうつ病を発症したものの回復した人のケースも、この法律にいう過労死等に含まれます。
試験のポイント
簡単にいうと
4者の責務を並べると、国だけ語尾が違います。
この法律は4者の責務を定めています。
・国 … 過労死等の防止のための対策を効果的に推進する責務を有する
・地方公共団体 … 国と協力しつつ、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならない
・事業主 … 国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めなければならない
・国民 … 過労死等を防止することの重要性を自覚し、これに対する関心と理解を深めるよう努めなければならない
語尾を並べると、国だけが「責務を有する」で、残る3者は「努めなければならない」という努力義務です。過労死等の防止は国が主導し、他は協力するという構図になっています。
事業主の責務の中身にも注意が必要です。「過労死等を防止しなければならない」ではなく、「国及び地方公共団体が実施する対策に協力するよう努める」という書き方です。事業主に直接的な防止義務を課しているわけではありません。
長時間労働そのものを規制するのは労働基準法、健康障害を防ぐ措置を義務づけるのは労働安全衛生法です。この法律はその上に立って、調査研究と啓発を担うという役割分担になります。
国民の責務が置かれているのも特徴です。過労死は職場だけの問題ではなく、社会全体の意識の問題でもあるという立場を示しています。
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具体例
会社が国の実施する過労死等防止啓発月間の取組に参加することは、事業主の責務にいう協力に当たります。
試験のポイント
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