働く時間と健康を守る法令
様々な労働時間法制を整備してきた結果、この30年くらいの間に全労働者を平均した年間総実労働時間は減少しました。ところが平均が下がった裏で、労働時間が長い者と短い者の割合がともに増加する現象が起きています。いわゆる「労働時間分布の長短二極化」です。
平均だけを見ていると改善したように見えるのに、実際には長時間労働の人と短時間の人に分かれてしまった。この法律はその状況に対応するために置かれています。
簡単にいうと
統計の落とし穴を、そのまま立法の理由にした法律です。
この法律の背景にあるのは、労働時間分布の長短二極化です。
全労働者を平均した年間総実労働時間はこの30年ほどで減少しました。しかし、その中身を見ると次のようになっています。
・労働時間が長い者の割合が増加
・労働時間が短い者の割合も増加
パートタイム労働者が増えれば平均は下がりますが、正社員の長時間労働はそのままかむしろ増えている、という状態です。平均値が改善しても、個々の労働者の状況が改善したとは限らないということになります。
そこで、労働者が休息や家庭生活等の時間と労働時間を柔軟に組み合わせ、意欲と能力を発揮できる環境を整えるべく、労働時間等設定改善法が置かれています。
「労働時間等の設定」という言い方に注意が必要です。労働時間の長さそのものを規制するのではなく、始業・終業の時刻や休暇の取りやすさといった「設定のしかた」を改善するという発想です。上限規制は労働基準法が担い、こちらは働き方の組み立てを担う、という役割分担になっています。
この二極化の話は、労働経済の統計と絡めて選択式で問われることがあります。平均年間総実労働時間の推移とセットで押さえておきます。
具体例
会社全体の平均残業時間が減っていても、一部の部署だけが月80時間残業しているなら、この法律が問題にする状態です。
試験のポイント
簡単にいうと
終業から始業までの時間。名前を覚えておくと得します。
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、次の措置を講ずるように努めなければなりません。
・業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定
・健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定
・年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
・その他の必要な措置
2つ目の「終業から始業までの時間」のことを勤務間インターバルといいます。前の日の仕事が終わってから次の日の仕事が始まるまでに、一定の休息時間を確保するという考え方です。
労働基準法は「1日8時間」という働く側の上限を定めますが、勤務間インターバルは「休む側」の下限を定めます。同じ長時間労働の抑制でも、切り口が逆になっているということです。
いずれも「講ずるように努めなければならない」という努力義務です。義務ではありません。この法律には罰則もなく、事業主の自主的な取組を促す性格の法律になっています。
3つの措置を並べると、時刻の設定・休息時間の設定・休暇の環境整備という順になります。日単位・日と日の間・年単位という3つの時間軸をカバーしている、と整理すると覚えやすくなります。
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具体例
22時まで残業した社員の翌日の始業を11時に繰り下げる運用が、勤務間インターバルの取組に当たります。
試験のポイント
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