雇用政策と職業紹介
この法律は、もともと「雇用対策法」の名のもとに、雇用対策に関係する法令の基本という位置づけで施行されていました。その後、働き方改革の総合的かつ継続的な推進を図る必要から、平成30年より「労働施策総合推進法」に改称され、今に至ります。
名前は総合的ですが、試験で問われるのは3つに絞られます。募集・採用における年齢制限の禁止、外国人雇用状況の届出、そしてパワハラの措置義務です。
簡単にいうと
昇進や職種の変更には、この規定がありません。
事業主は、原則として、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。
重要なのは対象の範囲です。禁止されているのは「募集及び採用」における年齢制限だけで、昇進や職種の変更については年齢制限の規定がありません。
試験では、労働者の募集、採用、昇進または職種の変更に当たって年齢制限をつけることを原則として禁止している、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。「昇進または職種の変更」が余計です。
男女雇用機会均等法と並べると構造の違いが見えます。均等法は募集・採用については「均等な機会を与える」、配置・昇進・降格・教育訓練については「差別的取扱いをしてはならない」と両方をカバーしていました。年齢についてのこの法律は、募集・採用だけで止まっているということです。
例外もあります。例えば65歳定年制を実施している企業が「65歳未満に限る」として募集及び採用を行う場合は問題となりません。定年で辞めてもらう人を採用しても意味がないためです。ただしこの場合は無期契約であることが前提となります。有期契約なら定年は関係ないので、この理屈が使えないということです。
この法律には中途採用比率の公表義務も置かれています。常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の職業選択に資するよう、中途採用者の割合を定期的に公表しなければなりません。特に大企業に伝統的に残りがちな新卒一括採用中心の採用制度を見直し、中途採用の拡大を図るためです。
人数の刻みに注意が必要です。女性活躍推進法と次世代育成支援対策推進法が「100人を超える」だったのに対し、こちらは「300人を超える」です。
具体例
60歳定年の会社が正社員を「60歳未満」に限って募集することは認められますが、契約社員の募集で同じ制限をつけることはできません。

性別・年齢・障害の3法を並べた表。年齢制限の禁止が募集及び採用に限られることを他法と対比できます
試験のポイント
簡単にいうと
被保険者なら資格得喪の届出と一緒。そうでないなら翌月末日です。
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければなりません。
届出期限は、その外国人が雇用保険の被保険者であるかどうかで分かれます。
雇用保険の被保険者である場合
・被保険者資格の得喪の届出と併せて行う
・雇入れ時 … 翌月10日まで
・離職時 … 離職した日の翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者でない場合
・雇い入れた日又は離職した日の属する月の翌月末日まで
被保険者である場合の期限が雇用保険法の資格取得届・資格喪失届と同じ数字になっているのは、同じ書式で一緒に出せるようにしているためです。二度手間を避ける設計だということです。
提出先は、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長です。条文上は厚生労働大臣への届出ですが、実際に出す先は公共職業安定所になります。
簡単にいうと
「優越的な関係」「必要かつ相当な範囲を超える」「就業環境が害される」。
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。
条文の中にパワハラの3要素が埋め込まれています。
・優越的な関係を背景とした言動であること
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
・労働者の就業環境が害されること
2つ目の要素が実務上のポイントです。厳しい指導であっても、業務上必要かつ相当な範囲であればパワハラには当たりません。逆にいえば、業務と無関係な人格否定や、必要な範囲を超えた叱責はパワハラになります。
「優越的な関係」は上司と部下に限りません。同僚や部下であっても、業務に必要な知識や経験を持っていて協力を得なければ業務が進まない場合には優越的な関係になり得ます。
そして、事業主は、労働者が相談を行ったことなどを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。この不利益取扱いの禁止は、男女雇用機会均等法のセクハラ・マタハラ、育児介護休業法のハラスメントとまったく同じ構造です。
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そして、この届出は事業所の人数規模等を問わず、すべての事業主が対象です。中途採用比率の公表が300人超に限られるのとは違い、外国人を1人でも雇えば届出が必要になります。
試験では、外国人が雇用保険の被保険者である場合には資格取得届の提出期限である「翌月10日」を適用する、という記述が正しいものとして出題されています。
具体例
留学生をアルバイトで雇い、週の労働時間が短くて雇用保険の被保険者にならない場合は、雇い入れた月の翌月末日までに届け出ます。
試験のポイント
・男女雇用機会均等法 … セクハラ、マタハラ
・育児介護休業法 … 育児休業等に関するハラスメント
・労働施策総合推進法 … パワハラ
具体例
業務に必要な指導として遅刻の改善を求めることはパワハラに当たりませんが、人格を否定する言葉を繰り返せば必要かつ相当な範囲を超えます。
試験のポイント
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