集団的労使関係と紛争の解決
労働組合が使用者と交渉する集団的な紛争とは別に、個々の労働者と事業主との間の紛争(個別労働関係紛争)が増加してきました。それを背景に誕生したのがこの法律です。
短い法律ですが、出題ポイントははっきりしています。あっせんの主体と担当機関、募集及び採用が「含まれる場面」と「除かれる場面」、そして紛争解決制度が適用されない6つの法律です。
簡単にいうと
同じ法律の中で、扱いが逆になる箇所があります。
目的条文は次のとおりです。
「この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。」
目的では、募集及び採用に関する求職者と事業主との間の紛争が「含む」とされています。
ところがあっせんの規定では逆になります。都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く)について、当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとされています。
並べると次のようになります。
・目的(1条)… 募集及び採用に関する紛争を「含む」
・あっせんの委任(5条)… 募集及び採用に関する紛争を「除く」
この反転が最大のひっかけどころです。法律全体としては募集・採用の場面も視野に入れるが、あっせんという手続には乗せない、という整理になります。
手続の主体も押さえておきます。あっせんを委任するのは都道府県労働局長で、実際にあっせんを行うのは紛争調整委員会です。主体が2段階になっている点が問われます。
試験では、この5条1項の内容がそのまま正しいものとして出題されています。
そして、事業主は、労働者があっせんの申請をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。申告や相談を理由とする不利益取扱いの禁止は、労働法にくり返し出てくる型です。
具体例
在職中の労働条件をめぐる紛争はあっせんの対象になりますが、採用を断られたことをめぐる紛争は対象外です。
試験のポイント
簡単にいうと
これらの法律には、自前の「調停」があります。
次の6つの法律については、個別労働紛争解決促進法の紛争解決制度(あっせん)は適用されず、それぞれの法律に定める紛争解決制度が適用されます。
❶パートタイム・有期雇用労働法
❷男女雇用機会均等法
❸育児介護休業法
❹障害者雇用促進法
❺労働者派遣法
❻労働施策総合推進法
6つの法律においては、「調停」という独自の紛争解決制度が使われます。
並べてみると、いずれも労一の前半で学んだ法律です。共通しているのは、待遇の格差やハラスメントといった専門的な判断を要する紛争を扱う点にあります。一般的なあっせんではなく、その分野の事情に通じた委員会が調停を行うほうが適切だという判断です。
覚え方としては、労一の第1章と第2章で出てきた主要な法律のうち、6つがこのリストに入ると押さえます。最低賃金法や労働契約法は入っていません。これらは紛争解決のための独自の制度を持たないためです。
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言葉の使い分けも整理しておきます。
・個別労働紛争解決促進法 … あっせん(紛争調整委員会)
・上記6法 … 調停(それぞれの法律に定める委員会)
・労働関係調整法 … 労働争議についての調整(労働委員会)
同じ「紛争を収める」でも、対象が個別か集団か、一般法か特別法かで制度が分かれているということです。
具体例
パートと正社員の待遇差をめぐる紛争は、あっせんではなくパートタイム・有期雇用労働法の調停で扱われます。
試験のポイント
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