高年齢者・障害者と能力開発
この法律には年齢の数字が次々に出てきます。55歳、45歳、60歳、65歳、70歳。どれが何を指すのかを最初に仕分けておかないと、選択肢を読んだときに迷います。
大きく分けると、定義に使う年齢(55歳・45歳)、定年の下限(60歳)、義務として雇用を確保する上限(65歳)、努力義務として就業を確保する上限(70歳)の4つのグループになります。
簡単にいうと
法律の名前は「高年齢者」ですが、定義は意外と若いところから始まります。
この法律において「高年齢者」とは、55歳以上の者をいいます。
また、「高年齢者等」という場合には、中高年齢者(45歳以上の者をいう)である求職者なども含まれます。具体的には次のような者です。
・中高年齢者である求職者(職を求めている者)… 45歳以上
・中高年齢失業者等(失業している者)… 失業者(45歳以上65歳未満)や、就職が特に困難な者
「高年齢者」と「高年齢者等」で範囲が変わる点が最大の注意点です。「等」が付くと45歳まで下がります。
目的条文も押さえておきます。この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もって高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的としています。
目的の中に「雇用の確保」「再就職の促進」「就業の機会の確保」という3つの局面が並んでいます。いま働いている人を働き続けさせること、辞めた人の再就職、そして雇用によらない就業機会。この3段構えがそのまま条文の構成になっています。
具体例
50歳で転職活動をしている人はこの法律の「高年齢者」ではありませんが、「高年齢者等」には含まれます。
試験のポイント
簡単にいうと
「定年は65歳以上にしなければならない」ではありません。
事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、原則として、当該定年は60歳を下回ることができません。
ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、60歳を下回る年齢を設定することができます。この業務とは、坑内作業の業務とされています。
試験では、事業主に定年年齢を定める場合には65歳以上とすることを義務づけている、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。義務づけられているのは「60歳以上」です。
60歳と65歳の関係を整理します。定年そのものは60歳以上であればよく、そのうえで65歳までの雇用を別の形で確保させる、という2段構えになっています。
高年齢者雇用確保措置
定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、下記のいずれかを講じなければなりません。
❶当該定年の引上げ
❷継続雇用制度の導入
❸定年制の廃止
簡単にいうと
同じ3択でも、こちらは「努めなければならない」です。
定年(65歳以上70歳未満のものに限る)の定めをしている事業主又は継続雇用制度を導入している事業主は、その雇用する高年齢者の65歳から70歳までの安定した雇用を確保するため、以下の措置を講ずるよう努めなければなりません。
❶当該定年の引上げ
❷65歳以上継続雇用制度(その雇用する高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後等も引き続いて雇用する制度をいう)の導入
❸当該定年の定めの廃止
選択肢の並びは高年齢者雇用確保措置とほぼ同じですが、語尾が「努めなければならない」になっています。65歳までが義務、65歳から70歳までが努力義務という関係です。
さらに、事業主が所定の創業支援等措置(創業に係る業務委託契約を締結する等)を講ずる場合には、高年齢者就業確保措置を講ずる必要はありません。雇用という形にこだわらず、業務委託や社会貢献事業への従事という形で就業機会を確保する道も認められているということです。
このほか2つの規定があります。
高年齢者雇用等推進者
事業主は、高年齢者雇用確保措置等を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければなりません。努力義務です。
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この構造があるため、「定年は60歳でよい。ただし65歳までは何らかの形で雇わなければならない」という結論になります。
具体例
60歳定年の会社は、希望者を65歳まで再雇用する継続雇用制度を導入すれば高年齢者雇用確保措置を満たします。
試験のポイント
雇用状況の報告
事業主は、毎年、6月1日現在における定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況等を翌月15日までに、高年齢者雇用状況等報告書により、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所の長を経由して厚生労働大臣に報告しなければなりません。
6月1日現在の状況を翌月15日まで、つまり7月15日までに報告するという日付です。
具体例
65歳定年の会社が70歳までの継続雇用制度を入れる代わりに、希望者と業務委託契約を結ぶ創業支援等措置を講じることもできます。
試験のポイント
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