高年齢者・障害者と能力開発
障害者雇用促進法は、障害者が社会の一員として自立することを後押しするための様々な対策を実施することにより、障害を抱える労働者の職業の安定を図ることを目的として制定されています。
この節の山場は法定雇用障害者数の計算です。短時間労働者を0.5人と数える場面が2か所に出てきますが、意味が違います。分母(常時雇用する労働者の数)を数えるときと、分子(実際に雇っている障害者の数)を数えるときで、頭を切り替える必要があります。
簡単にいうと
定義に「発達障害を含む」と明記されている点が特徴です。
「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいいます。
定義の構造は2段階です。
・障害の種類 … 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害
・その結果 … 長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難であること
障害があるだけでは足りず、それによって職業生活に支障が生じていることが必要だということになります。
差別の禁止は場面によって書きぶりが分かれます。
・募集及び採用 … 障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない
・賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇 … 労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない
この2段構えは、男女雇用機会均等法とまったく同じ形です。募集・採用は「均等な機会」、その後は「差別的取扱いの禁止」という並びを、性別・年齢・障害の3つの法律で共通して押さえておきます。
なお、待遇の側の条文には「不当な」という言葉が入っています。障害の特性に応じた配慮による違いは、不当な差別的取扱いには当たらないということです。
具体例
採用面接で障害を理由に応募を断ることはできませんが、障害の特性に合わせて業務を調整することは差別に当たりません。
試験のポイント
簡単にいうと
式は単純です。ややこしいのは「何人と数えるか」のほうです。
事業主は、雇用関係の変動がある場合、その雇用する対象障害者である労働者の数が「法定雇用障害者数」以上であるようにしなければなりません。
法定雇用障害者数は次の式で算出します。
法定雇用障害者数 = 常時雇用する労働者数 × 障害者雇用率
障害者雇用率は2.5%です。1人未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
分母を数えるときのルール
「常時雇用する労働者の数」の算定に当たって、短時間労働者は、その1人をもって0.5人の労働者に相当するものとされます。
ここでいう短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ20時間以上30時間未満である常時雇用する労働者のことです。パートタイム・有期雇用労働法の短時間労働者(わずかでも短ければ該当)とは違い、20時間以上30時間未満という幅が定められています。
分子を数えるときのルール
実際に雇用している対象障害者の人数は、次のように算定します。
簡単にいうと
義務が発生する人数のラインが2つあります。
人数のラインが2つ出てきます。
40人以上(推進者と報告)
・常時雇用労働者の数が40人以上の事業主は、障害者雇用推進者を選任するように努めなければならない(努力義務)
・事業主(労働者数が40人以上の事業主に限る)は、毎年6月1日現在における対象障害者の雇用状況を翌月15日までに、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に報告しなければならない
報告の日付は高年齢者雇用安定法とまったく同じです。毎年6月1日現在の状況を翌月15日まで。ただし報告先が違います。高年齢者雇用安定法は公共職業安定所の長を経由して厚生労働大臣へ、こちらは公共職業安定所の長へ直接です。
100人超(納付金と調整金)
・障害者雇用納付金 … 法定雇用障害者数未達成の事業主(常時100人を超える労働者を雇用している事業主に限る)は納付しなければならない。額は不足人数1人につき月額5万円
・障害者雇用調整金 … 法定雇用障害者数を超える数の障害者を雇用している事業主(常時100人を超える労働者を雇用している事業主に限る)に支給される。額は超過人数1人につき月額2万9千円
納付金5万円、調整金2万9千円という数字は入れ替えて出題されます。払う側(納付金)のほうが高い、と覚えておくと迷いません。
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・重度身体障害者又は重度知的障害者 … 短時間労働者以外なら1人をもって2人、短時間労働者なら1人をもって1人
重度の場合はダブルカウントされます。短時間労働者であっても、重度なら1人分として数えられるということです。
除外率
除外率設定業種(対象障害者が就業することが困難であると認められる職種の労働者が相当の割合を占める業種として厚生労働省令で定める業種。例えば建設業など)に属する事業を行う事業主については、その雇用する労働者の数から、当該労働者の数に除外率を乗じて得た数を控除した数をもってその雇用する労働者の数とし、これに障害者雇用率を乗じて得た数が法定雇用障害者数とされます。除外率は業種に応じて5%から70%の範囲で定められています。
具体例
常時雇用する労働者が200人の会社の法定雇用障害者数は200×2.5%=5人です。重度身体障害者を2人雇えば4人分と数えられます。
試験のポイント
試験では、未達成1人につき月10万円の障害者雇用納付金を徴収することとしている、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは月5万円です。
納付金は罰金ではありません。集めた納付金を原資として、多く雇用している事業主に調整金を支給する仕組みです。事業主間で障害者雇用の経済的負担を調整する、という発想になります。
もうひとつ、300人以下の事業主向けの認定制度もあります。厚生労働大臣は、その雇用する労働者の数が常時300人以下である事業主からの申請に基づき、障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組に関し、その実施状況が優良なものである旨の認定を行うことができます。認定を受けた事業主は、商品等に厚生労働大臣の定める認定マーク(もにす)を付することができます。
人数のラインが3つ出てくることになります。40人以上で推進者と報告、100人超で納付金と調整金、300人以下で「もにす」認定。300人だけが「以下」である点に注意が必要です。中小企業の取組を後押しする制度なので、大きい会社は対象外になります。
具体例
常時150人を雇う会社で法定雇用障害者数に2人足りなければ、月10万円の障害者雇用納付金を納めることになります。

労一に出てくる人数のラインを1枚にまとめた表。300人だけが「以下」である点が最大の引っかけどころです
試験のポイント
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