労働時間・休憩・休日
「忙しい週は長く、暇な週は短く」。平均して法定労働時間に収まっていれば、日や週の枠を柔軟に組み替えられるのが変形労働時間制です。
種類は、1か月単位・フレックスタイム制・1年単位・1週間単位の4つ。それぞれ採用手続・期間・上限のルールが違い、この違いがそのまま試験の出題ポイントになります。まず4つの全体像をつかんでから、各制度の数字を固めましょう。
簡単にいうと
まず「4種類ある」ことと、それぞれの手続・期間・上限の違いを一覧でつかむのが攻略の近道です。
変形労働時間制の意義は、労働者の生活設計を損なわない範囲内で労働時間を弾力化することにあります。繁忙期に労働時間を延ばしても、閑散期に縮めてバランスを取ればよいという柔軟な枠組みで、トータルでの労働時間短縮と人件費の抑制につながります。
制度は4種類あります。
・1か月単位の変形労働時間制 ― 月内で繁閑の差がある事業場向け
・フレックスタイム制 ― 始業・終業時刻を労働者が自分で決める
・1年単位の変形労働時間制 ― 季節で繁閑の差がある事業場向け
・1週間単位の非定型的変形労働時間制 ― 小規模な飲食店等向け
採用手続の違いが頻出です。1か月単位だけは「労使協定または就業規則等」のどちらでも採用できますが、1年単位と1週間単位は労使協定が必須、フレックスは就業規則等の定めと労使協定の両方が必要です。
具体例
洋菓子店を営むめぐみさんの場合、クリスマス前だけ忙しいなら1年単位、月末の棚卸し週だけ忙しいなら1か月単位、スタッフの裁量で働かせたいならフレックス、と事業場の繁閑パターンに合わせて選ぶことになります。

変形労働時間制 4つの制度の選び方
試験のポイント
簡単にいうと
月内の繁閑に合わせて枠を組む制度。時間外労働は「日→週→期間全体」の3段階でチェックします。
1か月単位の変形労働時間制は、労使協定の締結または就業規則その他これに準ずるものに定めることで採用できます。
定めるべき内容は、変形期間(1か月以内の一定の期間)における各日・各週の労働時間です。このとき、変形期間を平均した1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間・特例44時間)を超えない範囲に収める必要があります。
時間外労働になるかは3段階で判定します。
・1日 ― 8時間を超える定めをした日はその定めた時間を、それ以外の日は8時間を超えて働いた時間
・1週間 ― 週法定労働時間を超える定めをした週はその定めた時間を、それ以外の週は週法定労働時間を超えて働いた時間(日で数えた分は除く)
・変形期間全体 ― 法定労働時間の総枠(週法定労働時間×変形期間の日数÷7)を超えた時間(上記で数えた分は除く)
例えば9時間と定めた日に10時間働けば、9時間を超えた1時間が時間外です。6時間と定めた日に10時間働けば、8時間を超えた2時間が時間外になります。逆に、6時間の日を8時間まで延長しても8時間以内なので時間外にはなりません。
具体例
簡単にいうと
始業も終業も自分で決められる制度。2019年から清算期間が最長3か月になり、その分「月の週平均50時間」という歯止めが付きました。
フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の両方を労働者が自ら決定できる制度です。
採用するには2つの手続が必要です。
・就業規則その他これに準ずるものに、始業・終業時刻を労働者の決定にゆだねる旨を定める
・労使協定で、清算期間(3か月以内に限る)中の総労働時間などを定める
総労働時間は、清算期間を平均して週の労働時間が法定労働時間(原則40時間・特例44時間)を超えない範囲で設定します。
清算期間が1か月を超える場合には、追加のルールが2つかかります。
・労使協定を労働基準監督署長に届け出る(1か月以内なら届出不要)
・月ごとに見た週平均の労働時間を50時間以内にする(過重労働防止のため、最も忙しい月でも週平均50時間が上限)
時間外労働の数え方は清算期間の長さで変わります。1か月以内なら、法定労働時間の総枠(週法定×清算期間の日数÷7)を超えた時間です。1か月超3か月以内なら、①月ごとの週平均50時間を超えた時間と、②総枠を超えた時間(①を除く)の合計です。①は清算期間の途中でも、その月に対応する賃金支払日に割増賃金の支払いが必要です。
簡単にいうと
季節で忙しさが変わる職場向けの制度。期間が長いぶん「1日10時間・週52時間まで」という上限が付いています。
1年単位の変形労働時間制は、季節間で繁閑の差が生じる事業場に向いた制度で、採用には労使協定が必須です(就業規則だけでは採用できません)。
労使協定では、対象期間(1か月を超え1年以内)における労働日と、労働日ごとの労働時間を定めます。時間外労働の判定は1か月単位と同じ3段階(日→週→総枠)ですが、総枠の計算は40時間×対象期間の日数÷7で、44時間特例は使えません。
期間が長いことによる特有のルールが3つあります。
・労働日の特定の緩和 ― 2か月目以降の分は、協定締結時には各期間の労働日数と総労働時間だけ決めておけばよく、具体的な労働日・労働時間は各月の初日の少なくとも30日前に、過半数労働組合または過半数代表者の同意を得て定めます
・途中入職・退職者への割増賃金 ― 対象期間の途中で採用・退職した労働者は、働いた期間だけを平均すると週40時間を超えることがあるため、その超過分について割増賃金の支払いが義務付けられています
・労働時間の限度 ― 1日原則10時間、1週間原則52時間が上限です。1か月単位やフレックスにはこのような限度規定はありません
試験では週の限度を「54時間」とする誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは52時間です。
具体例
簡単にいうと
「来週の予約状況を見てからシフトを決めたい」小さな飲食店などのための、いちばん小回りのきく制度です。
1週間単位の非定型的変形労働時間制は、日ごとの業務の繁閑が直前まで読めない小規模事業場のための制度です。
対象になるのは、常時使用する労働者が30人未満の次の4業種の事業場に限られます。
・小売業
・旅館
・料理店
・飲食店
採用するには労使協定の締結が必要で、さらに1週間の各日の労働時間を、少なくともその週の開始前に書面で労働者に通知しなければなりません。
1日の労働時間の上限は10時間です。急な予約や受注増に対応できるよう日々の配分は柔軟にできますが、この上限は超えられません。
具体例
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スーパーの月末棚卸し週を1日9時間、他の週を1日7時間30分と定めたケースで、棚卸し週に10時間働いた日は「9時間を超えた1時間」だけが時間外です。7時間30分の日に8時間働いても、8時間以内なので時間外にはなりません。
試験のポイント
なお、フレックスで36協定を結ぶときは「1日」についての延長時間を協定する必要はなく、1か月・1年について協定すれば足ります。
具体例
IT企業で清算期間2か月のフレックスを導入した場合、繁忙の1か月目に週平均52時間働いたエンジニアのそうたさんには、50時間を超えた分がその月の給料日に割増賃金として支払われます。清算期間の終わりまで精算を待つことはできません。
試験のポイント
スキー場のホテルが12月〜2月を繁忙期とする1年単位の変形制を組む場合でも、繁忙期の設定は1日10時間・週52時間が上限です。また10月に中途入社したかなこさんが働いた期間の平均が週42時間なら、超えた分の割増賃金が必要です。
試験のポイント
試験のポイント
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