介護保険
介護保険は、保険者である市町村が自らサービスを提供するわけではありません。実際に介護サービスを行うのは事業者や施設で、その多くは民間です。
そこで、誰がどの事業者を認めるのか、そして費用を誰がいくら負担するのかが制度の骨組みになります。分数と割合が並びますが、規則性をつかめば覚えられます。
簡単にいうと
都道府県知事と市町村長で担当が分かれます。
事業者等(介護保険法に基づく介護サービス等を行う事業者及び施設)については、事業者等の申請により、事業所ごとに都道府県知事又は市町村長の指定等を受けなければなりません。
担当が2つに分かれます。
都道府県知事が担当するもの
・介護保険施設のうち介護老人保健施設(許可)
・介護保険施設のうち介護医療院(許可)
・介護保険施設のうち指定介護老人福祉施設(指定)
・指定居宅サービス事業者(指定)
・指定介護予防サービス事業者(指定)
市町村長が担当するもの
・指定居宅介護支援事業者(指定)
・指定地域密着型サービス事業者(指定)
・指定地域密着型介護予防サービス事業者(指定)
・指定介護予防支援事業者(指定)
「許可」なのは介護老人保健施設と介護医療院の2つだけで、それ以外はすべて「指定」です。医療機関としての性格が強い2つが許可制になっているという整理になります。
市町村長が担当するものには「地域密着型」「居宅介護支援」「介護予防支援」が並びます。その地域の住民が使うサービスは、地域の実情を知る市町村が見るという発想です。
有効期間はすべて6年です。試験では、指定居宅介護支援事業者の指定は「3年」ごとに更新を受けなければ効力を失う、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは6年です。
介護保険事業計画が3年を1期であるのに対し、事業者の指定は6年。この2つの数字を取り違えないよう並べて覚えます。
具体例
地域密着型のデイサービスを始めるには市町村長の指定が必要で、6年ごとに更新を受けます。
試験のポイント
簡単にいうと
施設分は国が減って都道府県が増えます。市町村は動きません。
介護保険の公費負担は、対象となる費用によって2種類に分かれます。
❶介護給付及び予防給付に要する費用(❷に係るものを除く)
・国 … 100分の25(うち100分の5は調整交付金)
・都道府県 … 100分の12.5
・市町村 … 100分の12.5
・計 … 100分の50
❷介護給付(介護保険施設及び特定施設入居者生活介護に係るものに限る)及び予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護に係るものに限る)に要する費用
・国 … 100分の20(うち100分の5は調整交付金)
・都道府県 … 100分の17.5
・市町村 … 100分の12.5
・計 … 100分の50
簡単にいうと
第2号の保険料は、支払基金を経由して市町村に届きます。
保険料の集め方は、被保険者の種類によってまったく違います。
第1号被保険者に係る保険料
市町村が徴収します。原則は特別徴収(年額18万円以上の年金からの天引き)です。介護保険料額に係る保険料率は、おおむね3年を通じ財政の均衡を保つことができるように設定されています。
第2号被保険者に係る保険料
各医療保険の保険者が徴収します。流れは次のとおりです。
第2号被保険者 →(保険料)→ 医療保険者 →(介護給付費・地域支援事業支援納付金=介護納付金)→ 社会保険診療報酬支払基金 →(介護給付費交付金・地域支援事業支援交付金)→ 市町村
各医療保険者が医療保険料の一部として賦課・徴収し、当該徴収した保険料を介護納付金として社会保険診療報酬支払基金に納付します。社会保険診療報酬支払基金は、年度ごとに全国の医療保険者から介護納付金を徴収し、各市町村に設けられた介護保険特別会計に対し、介護給付費交付金及び地域支援事業支援交付金として交付します。
社会保険診療報酬支払基金が中継役になる形は、前期高齢者交付金や後期高齢者交付金とまったく同じです。社一では支払基金が何度も登場するので、「制度間でお金を回すときは支払基金」と覚えておくと整理しやすくなります。
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見比べると、動いているのは国と都道府県だけです。
・国 … 25% → 20%(5ポイント減)
・都道府県 … 12.5% → 17.5%(5ポイント増)
・市町村 … 12.5%のまま
施設に関する費用では、都道府県が国の分を5ポイント肩代わりする形になっています。施設の指定・許可を行うのが都道府県だから、その分の責任も負うという理屈です。
どちらの場合も国の100分の5は調整交付金です。定率の負担とは別に、市町村ごとの事情を調整するために使われます。
合計はどちらも100分の50です。介護給付及び予防給付に要する費用の額は、2分の1が公費で賄われ、残り2分の1が保険料で賄われます。
試験では、市町村又は特別区が介護給付及び予防給付に要する費用の額の「100分の25」に相当する額を負担する、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは100分の12.5です。100分の25は国の負担割合になります。
具体例
在宅サービスの費用は国が4分の1を出しますが、特別養護老人ホームの費用では国が5分の1、都道府県が多めに出します。

公費負担の割合一覧。介護保険は在宅等と施設等で国と都道府県の割合が入れ替わります
試験のポイント
・介護保険(第1号) … おおむね3年
・後期高齢者医療 … おおむね2年
介護保険事業計画が3年を1期であることと対応しています。計画の期間と保険料率の均衡期間がそろっているということです。
年額18万円以上の年金から天引きするという特別徴収の基準は、国民健康保険や後期高齢者医療と共通です。
具体例
会社員が払う介護保険料は健康保険料と一緒に給与から引かれ、支払基金を経由して各市町村に配られます。

支払基金を通る4つのお金の表。第2号被保険者の介護納付金が他制度とどう並ぶかを確認できます
試験のポイント
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