高齢者の医療を支える仕組み
後期高齢者医療の給付は、国民健康保険とほとんど同じ顔ぶれです。違いは2つだけと言ってよく、そこが問われます。
費用のほうは分数だらけですが、規則性があります。公費が半分、残り半分を現役世代と被保険者で分ける。そして公費の中身は12分の4・12分の1・12分の1という並びです。
簡単にいうと
「出産に関する給付がないこと以外はほぼ同じ」と覚えます。
後期高齢者医療給付は、出産に関する給付がないこと以外は、ほぼ国民健康保険の保険給付と同様です。給付制限の規定についても同様になります。
給付は3つのカテゴリーに分かれます。
法定必須給付(必ず行わなければならない給付)
療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費、高額介護合算療養費
法定任意給付(原則として行わなければならないが、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる給付)
葬祭費の支給又は葬祭の給付
任意給付(行うかどうかは後期高齢者医療広域連合の自由である給付)
傷病手当金
国民健康保険と並べると、抜けているものがはっきりします。
・法定任意給付から出産育児一時金が抜けている
・任意給付から出産手当金が抜けている
どちらも出産に関する給付です。75歳以上を対象とする制度なので、出産の給付を置く必要がないという理屈になります。
もうひとつの違いが一部負担金です。後期高齢者医療と国民健康保険の違いは、療養の給付の「一部負担金」の割合が原則1割である点にあります。国民健康保険では70歳以上が原則2割、一定以上所得者が原則3割でした。
なお、カテゴリーの名前も微妙に違います。国民健康保険では絶対的必要給付・相対的必要給付・任意給付、後期高齢者医療では法定必須給付・法定任意給付・任意給付です。中身の考え方は同じですが、呼び名が変わります。
具体例
76歳の人が病院にかかると窓口負担は原則1割ですが、73歳であれば国民健康保険の原則2割になります。
試験のポイント
簡単にいうと
12分の4・12分の1・12分の1という並びを覚えます。
給付等の費用に対する負担の内訳は次のとおりです。
・公費(国・都道府県・市町村)… 50%
・後期高齢者交付金(現役世代の負担)と被保険者(保険料)… 残りの50%
公費の内訳はさらに次のように分かれます。
・国 … 12分の4(調整交付金12分の1を含む)
・都道府県 … 12分の1
・市町村 … 12分の1
3つを足すと12分の6、つまり2分の1になります。全体の50%が公費だという先ほどの記述と一致します。
国の12分の4に調整交付金12分の1が含まれている点が細かい論点です。国の負担すべてが定率の負担というわけではなく、その一部は地域差を調整するための交付金だということになります。
現役世代からの支援は、社会保険診療報酬支払基金を経由します。
簡単にいうと
運営は広域連合、集金は市町村という分担です。
後期高齢者医療の被保険者に係る保険料は、市町村が徴収します。市町村は、徴収した保険料その他徴収金を、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療に要する費用に充てるため、後期高齢者医療広域連合に納付するものとされています。
実質的な保険者は広域連合ですが、住民と直接向き合う窓口は市町村です。国民健康保険で、保険者に都道府県が加わっても実務は市町村が行っていたのと同じ構造になります。
徴収方法も国民健康保険と同じく、原則として特別徴収(公的年金給付からの天引き)で行われます。
保険料率については、後期高齢者医療の保険料に係る保険料率は、おおむね2年を通じ、財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされています。毎年ではなく2年単位で均衡を見るという設計です。
出産給付への支援も押さえておきます。医療保険(健康保険や国民健康保険など)で行われている出産育児一時金等の支給費用の一部を、現役世代だけでなく後期高齢者医療制度も支援しています。
具体的には、社会保険診療報酬支払基金を介して、年度ごとに、後期高齢者医療広域連合が拠出する出産育児支援金を出産育児交付金として各保険者に交付する仕組みです。社会保険診療報酬支払基金の当該業務等に関する事務処理費用については、医療保険の各保険者が「出産育児関係事務費拠出金」として負担しています。
後期高齢者医療には出産の給付がないのに、出産費用を支援する側に回っているという点が面白いところです。少子化対策を社会全体で支えるという考え方が制度に反映されています。
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納付する側が「後期高齢者支援金」と「後期高齢者関係事務費拠出金」、受け取る側が「後期高齢者交付金」です。
前期高齢者の調整も同じ形をしています。
保険者 →(前期高齢者納付金等)→ 社会保険診療報酬支払基金 →(前期高齢者交付金)→ 保険者
違いは出口です。前期高齢者交付金は「保険者」に交付されますが、後期高齢者交付金は「後期高齢者医療広域連合」に交付されます。前期高齢者は各保険者に加入したままなので保険者へ、後期高齢者は独立した制度に移っているので広域連合へ、という違いになります。
具体例
後期高齢者の医療費のうち半分は税金でまかなわれ、残り半分は現役世代の支援金と本人の保険料で分け合っています。

公費負担の割合一覧。後期高齢者医療と介護保険はどちらも公費で半分、国と都道府県の分け方だけが動きます
試験のポイント
具体例
後期高齢者医療の保険料は年金から天引きされますが、集めているのは広域連合ではなく市町村です。
試験のポイント
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