社会保障の全体像と沿革
ここまで個別の法律を見てきましたが、それらは社会保障という大きな枠組みの一部です。この節では、社会保障を5つに分類して全体の位置関係をつかみます。
特に重要なのが、社会保険と公的扶助の対比です。「防貧」と「救貧」という2つの言葉が、そのまま試験で問われます。
簡単にいうと
社会保険は5つのうちの1つにすぎません。
社会保障は、次のように分類できます。
❶社会保険
❷公的扶助
❸公衆衛生及び医療
❹社会福祉
❺社会手当
それぞれの中身は次のとおりです。
社会保険
一般的に貧困の原因となる疾病、障害、家族の死亡、老齢などの保険事故に対し、予防的に所得保障を行うものであり、防貧的所得保障といわれます。原則として、保険加入者の拠出する保険料によって制度を運営します。
公的扶助
所得を喪失し生活の保障を現実に必要とする者に対し給付を行うものであり、救貧的所得保障といわれます。生活保護がその中心的役割を担い、財源のすべてが税金によって賄われます。
公衆衛生及び医療
法定伝染病、結核、精神病など、放置すれば社会生活に重大な影響を及ぼす疾病に対して、特別の立法や制度によって、予防や治療が公費(税金)で行われます。
社会福祉
心身にハンディキャップがあるため社会生活ができにくい状態にある人々が、一般的な社会生活をできるようにする措置や援助をいいます。
社会手当
児童手当のように家計の中において一定の支出が必要とされるときに、それに応じて現金を支給するものです。
社労士試験で扱う法律を当てはめると、健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法・労災保険法・雇用保険法・介護保険法が社会保険、児童手当法が社会手当に当たります。
具体例
けがに備えて保険料を納めておくのが社会保険、実際に生活できなくなった人を支えるのが公的扶助です。
試験のポイント
簡単にいうと
2つの言葉を取り違えないことが最大のポイントです。
社会保険と公的扶助の対比を、2つの軸で押さえます。
タイミングの軸
・社会保険 … 保険事故に対し予防的に所得保障を行う(防貧的所得保障)
・公的扶助 … 所得を喪失し生活の保障を現実に必要とする者に対し給付を行う(救貧的所得保障)
貧困になる前に手を打つのが防貧、貧困になってから助けるのが救貧です。「防」と「救」という漢字がそのまま意味を表しています。
財源の軸
・社会保険 … 原則として、保険加入者の拠出する保険料
・公的扶助 … 財源のすべてが税金
社会保険は「原則として」保険料と書かれている点にも注意が必要です。実際には国庫負担が入っています。基礎年金拠出金の2分の1、国民健康保険の療養の給付等に係る100分の32、介護保険の公費50%、後期高齢者医療の公費50%といったものがそれに当たります。
公的扶助の中心は生活保護です。生活保護を受けている世帯に属する者が国民健康保険の適用除外とされていたのは、この2つが役割を分担しているためになります。医療も含めて生活保護が丸ごと面倒を見るので、社会保険の側から重ねて給付する必要がないということです。
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社会手当も税財源です。児童手当のように、保険事故ではなく「一定の支出が必要とされるとき」に現金を支給します。保険という形をとらないため、保険料を納めていなくても支給されます。年金生活者支援給付金も同じ性格の給付でした。
具体例
働けなくなる前から保険料を納めて備えるのが社会保険、実際に生活できなくなった人に生活保護を出すのが公的扶助です。
試験のポイント
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