ひとことで言うと
通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡のことです。労基法の災害補償にはない、労災保険法が独自に用意した保護の枠組みです。
解説
通勤災害とは、通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。ここでいう通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復などの移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものは除かれます。
くわしく解説
通勤の定義は4つの部品でできています。
・就業に関し
業務に就くため、又は業務を終えたことにより行われる移動であることが必要です。休日に会社の運動施設を利用しに行く場合や、参加が任意の会社行事に参加する場合は該当しません。他方、寝過ごしによる遅刻やラッシュを避ける早出のように時刻的に多少の前後があっても通勤とされます。
・3つの移動
①住居と就業の場所との間の往復②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動(事業場間の移動)③①に先行し、又は後続する住居間の移動(単身赴任者の移動)の3つです。
・合理的な経路及び方法
合理的な経路は1つに限られません。通勤費の申請のために会社へ届け出ている経路だけでなく、それに代替し得る経路も含まれます。
・業務の性質を有するものを除く
直行直帰の出張における住居と出張先との往復は業務行為となり、通勤災害ではなく業務災害として扱われます。
通勤による疾病の範囲は、労災保険法施行規則で「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」と規定されています。業務上の疾病と異なり、具体的な疾病名は例示されていません。
給付の名称からは「補償」の2文字が外れ、療養給付・休業給付などとなります。事業主に災害補償の責任がないためで、同じ理由から一部負担金(原則200円)が生じ、待期3日間について事業主の労基法上の休業補償の義務もありません。
具体例で考えよう
いつも使う電車が止まったため遠回りの別路線に振り替えて出勤した途中の事故も、合理的な経路の範囲内として通勤災害になります。届け出ている経路と違うという理由だけで通勤から外れることはありません。
試験対策ポイント
合理的な経路は最短距離の唯一の経路に限られない。通勤による疾病には具体的な疾病名の例示がない。通勤災害の給付には「補償」が付かず、療養給付には原則200円の一部負担金があり、待期3日間について事業主に労基法上の休業補償の義務はない
関連法令
労働者災害補償保険法7条1項3号・2項、労働者災害補償保険法施行規則18条の4、平18.3.31基発0331042号
関連用語
「労働者災害補償保険法」の他の用語
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