ひとことで言うと
業務が相対的に有力な原因となって発症した病気のことです。範囲は労働基準法施行規則の別表第1の2に第1号から第11号まで定められています。
解説
業務上の疾病とは、業務が他の競合する原因と比較して相対的に有力な原因として認められる疾病をいいます。けがと違って発症の時点が特定しにくいため、あらかじめ対象となる疾病を列挙しておく方式がとられています。過重労働による脳・心臓疾患は第8号、業務によるストレスによる精神障害は第9号に位置づけられています。
くわしく解説
労働基準法施行規則別表第1の2は、3つの層に分けて理解すると見通しがよくなります。
・第1号 業務上の負傷に起因する疾病
業務上のけがが原因で起きた病気です。業務上の頭部の負傷による慢性硬膜下血腫などが該当します。
・第2号から第10号 職業性の疾病
いつ罹患したのかの立証が難しい病気について、あらかじめ想定される疾病を例示列挙しておき、迅速に被災労働者を保護する趣旨です。
・第11号 その他業務に起因することの明らかな疾病
列挙されていない疾病でも救済するための包括規定です。ただしこの号による場合には、労働者側に立証責任があります。
脳・心臓疾患については、次の3つのいずれかに該当することが必要です。
・異常な出来事(発症直前から前日までの間)
・短期間の過重業務(発症前おおむね1週間)
・長期間の過重業務(発症前おおむね6か月間)
労働時間で見ると、1か月当たりおおむね45時間を超えなければ関連性は弱く、45時間を超えて長くなるほど徐々に強まります。発症前1か月におおむね100時間、又は発症前2か月ないし6か月にわたり1か月当たりおおむね80時間を超えると、関連性が強いと評価されます。
精神障害については、①対象疾病を発病していること②発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと、の3要件をすべて満たす必要があります。脳・心臓疾患が「いずれか」であるのに対し、こちらは「いずれも」である点が違います。
具体例で考えよう
半年にわたり毎月85時間の時間外労働を続けていた従業員が脳梗塞を発症した場合、2か月ないし6か月の平均が80時間を超えているため、業務と発症との関連性が強いと評価される方向に働きます。
試験対策ポイント
業務上の疾病の範囲は労基則別表第1の2の第1号から第11号。第11号の包括規定は労働者側に立証責任がある。脳・心臓疾患の過重負荷は3種類でいずれか1つに該当すればよいが、精神障害の認定は3要件すべてを満たす必要がある
関連法令
労働者災害補償保険法7条1項1号、労働基準法施行規則35条・別表第1の2
関連用語
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