社労士になる子ちゃん
労働者災害補償保険法

労災保険の給付体系まるごとマップ|療養・休業・障害・遺族・傷病・介護の6給付を1枚で整理

労災保険の保険給付は全部で6種類。どれも「業務災害」と「通勤災害」で名前が少し変わるだけで、中身は同じです。

労災保険の給付体系の全体マップ。中心の「労災保険」から、療養(補償)給付・休業(補償)給付・傷病(補償)年金・障害(補償)給付・遺族(補償)給付・介護(補償)給付の6つへ矢印が伸びている図
労災保険の給付体系の図解

労災保険(労働者災害補償保険)の保険給付は、大きく分けて6種類あります。同じ給付でも、仕事中や仕事が原因のケガ・病気(業務災害)なら「〇〇補償給付」、通勤中の事故(通勤災害)なら「補償」の2文字が取れて「〇〇給付」という名前になります。中身の要件や金額は同じなので、まずは6種類の全体像を押さえてから、それぞれの支給要件を覚えると混乱しません。

① 療養(補償)給付:治療そのものを給付する

仕事や通勤が原因のケガ・病気を治療するための給付です。労災病院など指定医療機関で治療を受ければ、治療費は原則タダ(現物給付)。指定外の医療機関にかかった場合は、いったん立て替えた費用があとから支給されます(現金給付)。業務災害では一部負担金はありませんが、通勤災害の場合だけ、初回の治療費から200円(一部負担金)が引かれる点が試験でよく狙われます。

② 休業(補償)給付:働けない間の生活を支える

ケガ・病気の療養のために働けず、賃金を受けられない日が続くときの所得補償です。ただし最初の3日間(待期期間)は労災保険からは出ず、業務災害の場合は事業主が労働基準法上の休業補償(平均賃金の60%)を直接払う義務があります。4日目からは労災保険の休業補償給付(給付基礎日額の60%)に加えて、休業特別支給金(20%)も上乗せされ、実質80%が支給されます。

③ 傷病(補償)年金:長引いたら年金に切り替わる

療養開始から1年6か月たっても治っておらず、その障害の程度が傷病等級(1〜3級)に該当する場合に、休業(補償)給付から自動的に切り替わる年金です。本人からの請求ではなく、労働基準監督署長の職権で支給が決定される点が特徴です。

④ 障害(補償)給付:治った後に障害が残ったとき

治療の効果が上がらなくなった状態(治ゆ・症状固定)になっても、身体に障害が残った場合の給付です。障害等級表の1〜7級は年金、8〜14級は一時金として支給されます。等級が重いほど年金、軽いほど一時金という対比を押さえておくと整理しやすいです。

⑤ 遺族(補償)給付:亡くなったときに家族へ

労働者が業務災害・通勤災害で亡くなった場合に、遺族に支給されます。優先順位の高い遺族がいれば遺族(補償)年金、年金を受けられる遺族がいない場合や、年金受給者が全員失権して合計受給額が一定額に満たない場合は遺族(補償)一時金が支給されます。

⑥ 介護(補償)給付:年金受給者の「今の介護」を支える

傷病(補償)年金または障害(補償)給付(1級・2級の一部)を受けていて、実際に常時または随時の介護を受けている人に支給されます。病院や一定の福祉施設に入所している間は、すでに施設で介護サービスを受けているとみなされ、支給されません。

◎ 試験対策のポイント

  • ▶「補償」が付くのは業務災害、付かないのは通勤災害。中身の要件・金額は共通
  • ▶休業(補償)給付は4日目から。最初の3日間は業務災害なら事業主の休業補償(労基法)
  • ▶傷病(補償)年金は「1年6か月+治ってない+傷病等級1〜3級」で自動的に切り替わる(本人請求ではなく職権)
  • ▶障害(補償)給付は1〜7級=年金、8〜14級=一時金
  • ▶介護(補償)給付は「もらえる年金の種類」+「実際に介護を受けているか」のセットで判断する

よくある質問

Q. 「療養補償給付」と「療養給付」は何が違うのですか?

A. 中身は同じ給付です。仕事中・仕事が原因のケガや病気(業務災害)なら「療養補償給付」、通勤中の事故(通勤災害)なら「補償」が付かず「療養給付」と呼びます。他の5つの給付も同じルールで名前が変わります。

Q. 休業(補償)給付はケガをした当日から受け取れますか?

A. いいえ。休業の最初の3日間(待期期間)は労災保険からは支給されません。業務災害の場合、この3日間は事業主が労働基準法に基づく休業補償を直接支払う義務があります。労災保険の休業(補償)給付が支給されるのは4日目からです。

Q. 障害(補償)給付が年金になるか一時金になるかは何で決まりますか?

A. 認定された障害等級で決まります。障害等級表の1級から7級に該当すると年金、8級から14級に該当すると一時金として支給されます。等級が重いほど継続的な年金で支える設計になっています。

関連する用語

用語の詳しい解説は用語集で確認できます。

関連する図解