ひとことで言うと
使用者は賃金を払うだけでなく、労働者の生命や身体の安全を確保する義務を負います。
解説
安全配慮義務とは、使用者が、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務をいいます。労働契約法に明文で定められています。
くわしく解説
この義務が置かれている理由は、労働の実態にあります。通常の場合、労働者は使用者の指定した場所に配置され、使用者から提供される設備や器具などを使って働きます。自分で環境を選べない以上、その環境の安全を確保する責任は使用者が負うべきだ、という考え方です。
そのため、使用者は労働契約に基づく賃金支払義務だけでなく、安全配慮義務も負うことになります。契約書に書いていなくても、労働契約を結んだことに伴って当然に生じる義務です。
労働安全衛生法との関係も整理しておきます。労働安全衛生法は、事業者に対して具体的な措置(作業主任者の選任、健康診断の実施、設備の点検など)を罰則付きで義務づける行政取締法規です。これに対し安全配慮義務は、違反したときに損害賠償責任という民事の効果につながる義務になります。
・労働安全衛生法 … 行政が取り締まる。違反には罰則
・安全配慮義務 … 民事上の義務。違反すれば損害賠償責任
同じ「安全を守る」でも、効き方が違うということです。実務では、労働安全衛生法上の措置を怠っていたことが、安全配慮義務違反を基礎づける事実として使われます。
過重労働による健康障害も、安全配慮義務の問題として争われます。長時間労働を放置して労働者が健康を損なった場合、会社は損害賠償責任を負い得ます。
具体例で考えよう
危険な機械に安全カバーを付けないまま作業させて労働者がけがをすれば、会社は安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われます。
試験対策ポイント
使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとされる。労働安全衛生法が罰則付きの行政取締法規であるのに対し、安全配慮義務は違反すると損害賠償責任という民事の効果につながる
関連法令
労働契約法5条
関連用語
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