ひとことで言うと
「辞めたら違約金50万円」のように、契約違反の場合の賠償額をあらかじめ決めておくことを禁じるルールです。実際に生じた損害の賠償請求まで禁止されるわけではありません。
解説
賠償予定の禁止とは、使用者が労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をすることを禁止する労働基準法16条の規制をいいます。金額をあらかじめ定めることが禁止されるのであって、現実に生じた損害について賠償を請求すること自体は禁じられていません。
くわしく解説
労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めること、損害賠償額をあらかじめ予定する契約を禁止しています。「辞めたら50万円払え」のような取り決めは、労働者の足止め策になり身分的拘束を生むため、民法では許される違約金の定めも労基法では認められません。
ただし16条が禁止するのは「あらかじめ金額を予定すること」だけです。労働者の行為で実際に会社に損害が生じた場合に、現実の損害について賠償請求すること自体は禁止されていません。試験では「現実に生じた損害の賠償請求を約定することも禁止される」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。
セットで押さえたいのが前借金相殺の禁止(17条)です。前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することは禁止されています。借金のカタに働かせ続ける人身拘束を防ぐ趣旨です。
こちらにも注意点があります。17条が禁止するのは使用者側からの相殺です。労働者が使用者の強制によらず、真意から相殺を希望する意思表示をした場合の相殺は禁止されていません。
具体例で考えよう
エステサロンが研修を受けた従業員と「3年以内に退職したら研修費として一律30万円支払う」と約束するのは16条違反です。一方、その従業員が会社の備品を壊してしまい、実際の修理代を賠償請求されること自体は禁止されません。
試験対策ポイント
16条が禁止するのは違約金・賠償額の「予定」であり、現実に生じた損害の賠償請求は可能。17条が禁止するのは使用者からの前借金相殺で、労働者が真意から行う相殺は禁止されない
関連法令
労働基準法16条・17条
関連用語
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