ひとことで言うと
船舶や航空機の事故で生死が3か月わからないときに、その事故の日に死亡したものと推定する制度です。死亡した日は3か月後ではなく事故の日です。
解説
死亡の推定とは、船舶又は航空機の事故に際し現にそれらに乗っていた労働者の生死が3か月間わからない場合等に、その船舶又は航空機が沈没、墜落、滅失又は行方不明となった日に、その労働者が死亡したものと推定する制度をいいます。遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用について働きます。
くわしく解説
民法には、失踪して生死が不明の場合に7年経過したら死亡したものとみなすという失踪宣告の規定があります。しかし、これでは遺族への保険給付があまりに遅くなってしまいます。
そこで労災保険法は、海難事故や航空機事故という生存の可能性が極めて低い場面について、独自の推定規定を置きました。3か月という短い期間で死亡を推定し、遺族に対して迅速に保険給付を行えるようにしています。
注意すべきは、2つの日付の役割を取り違えないことです。
・3か月 … 生死がわからない状態が続く期間
・死亡したと推定される日 … 船舶や航空機が沈没、墜落、滅失又は行方不明となった日そのもの
試験では、航空機の事故で生死が3か月間わからない場合の死亡推定の時期を「航空機が墜落し、滅失し、又は行方不明となった日から3か月後」とする誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは事故の日です。3か月はあくまで待つ期間であって、そこが死亡日になるわけではありません。
この日付の違いは実務上も意味があります。死亡日が事故の日になることで、遺族補償年金の受給資格の判定(死亡の当時の年齢や生計維持関係)も事故の日を基準に行われることになります。
具体例で考えよう
1月10日に漁船が行方不明となり、4月に入っても乗組員の生死が判明しない場合、死亡日は4月ではなく1月10日と推定され、遺族補償給付の手続を進めることができます。
試験対策ポイント
船舶又は航空機の事故で生死が3か月間わからない場合、沈没・墜落・滅失・行方不明となった日に死亡したものと推定する。3か月後ではない。適用されるのは遺族補償給付・葬祭料・遺族給付・葬祭給付の支給に関する規定
関連法令
労働者災害補償保険法10条
関連用語
「労働者災害補償保険法」の他の用語
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