安全衛生管理体制|業種と規模で決まる選任義務を1枚の表で
縦は「誰を選ぶか」、横は「どの業種か」。交点の数字が「何人以上の事業場で必要か」です。

労働安全衛生法で最も問われるのが安全衛生管理体制です。総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・推進者・委員会と役割が並び、それぞれに人数要件があるため、丸暗記しようとすると必ず崩れます。整理の軸は2つだけで、業種区分と事業場の規模です。業種は危険度の高い順に3つのグループに分かれ、そのグループごとに必要な人数が変わります。表の形にして交点を読む習慣をつけると、初見の設問でも位置から答えを引き出せるようになります。
① まず業種を3つに分ける
1つ目のグループは林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業で、災害の危険が最も高い業種です。2つ目は製造業(物の加工業を含む)・電気業・ガス業・熱供給業・水道業・通信業・各種商品卸売業・家具建具じゅう器等卸売業・各種商品小売業・家具建具じゅう器小売業・燃料小売業・旅館業・ゴルフ場業・自動車整備業・機械修理業です。そして3つ目がそれ以外のすべての業種です。この3分類は覚える対象そのものなので、まず業種名を押さえてから人数に進んでください。
② 総括安全衛生管理者:100・300・1,000
事業場全体を統括する立場で、必要となる規模が業種によって大きく変わります。危険度の高い第1グループは常時100人以上、第2グループは常時300人以上、その他の業種は常時1,000人以上です。「100・300・1,000」という3段の数字は、業種区分の順番とセットで覚えると崩れません。総括安全衛生管理者は、その事業場において事業の実施を統括管理する者をもって充てることとされており、資格要件ではなく地位で選ばれる点も特徴です。
③ 「衛生」がつくものは全業種で50人以上
ここが整理の急所です。衛生管理者・産業医・衛生委員会は、業種を問わず常時50人以上の事業場で必要になります。健康管理は業種によらず必要だからです。一方で「安全」がつくものは業種が限られます。安全管理者は第1・第2グループだけで必要(その他業種は選任不要)、安全委員会も第1グループは50人以上、第2グループは100人以上、その他業種は設置不要です。「衛生は全業種、安全は危険な業種だけ」と覚えてください。
④ 50人未満の事業場には推進者を置く
常時10人以上50人未満の事業場では、管理者ではなく推進者を選任します。第1・第2グループでは安全衛生推進者、その他の業種では衛生推進者です。名前が1語違うだけですが、担当する範囲が違います。安全衛生推進者は安全と衛生の両方、衛生推進者は衛生に係る業務のみを担当します。その他業種にはそもそも安全管理者の選任義務がないので、推進者も衛生だけになる、という理屈でつながっています。
⑤ 安全委員会だけ数字がずれる
見落としやすいのが安全委員会です。第1グループでは常時50人以上で設置が必要ですが、第2グループでは常時100人以上に上がります。安全管理者の選任義務が第1・第2グループとも50人以上であるのと数字がずれるため、ここを狙った出題があります。なお安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなければならない事業場では、それぞれに代えて安全衛生委員会を設置することができます。
⑥ 建設業などの重層構造には別の体制がある
ここまでは単独の事業場の話です。建設業や造船業のように、元請と下請が同じ場所で働く重層構造の現場には、別建ての体制が用意されています。統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者、店社安全衛生管理者がそれにあたります。「事業場ごとの体制」と「混在する現場の体制」は別の話として整理しておくと、名前が似ていても混同しません。
◎ 試験対策のポイント
- ▶業種区分は3つ。第1=林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業、第2=製造業や卸売小売の一部など、第3=その他
- ▶総括安全衛生管理者は100人・300人・1,000人(業種区分の順)
- ▶衛生管理者・産業医・衛生委員会は業種を問わず常時50人以上
- ▶安全管理者はその他業種では選任不要。安全委員会もその他業種では設置不要
- ▶安全委員会だけ第2グループで100人以上に上がる(安全管理者の50人以上とずれる)
- ▶10人以上50人未満は推進者。第1・第2は安全衛生推進者、その他業種は衛生推進者
- ▶重層構造の現場には統括安全衛生責任者などの別体制がある
よくある質問
Q. なぜ衛生管理者だけ全業種で必要なのですか?
A. 健康管理の必要性は業種を問わないからです。危険な機械を扱わないオフィスでも、健康診断やストレスチェック、作業環境の管理は必要になります。逆に「安全」に関する管理者や委員会は、災害のリスクが高い業種に限って求められる、という設計になっています。
Q. 安全委員会と衛生委員会は別々に設置しなければなりませんか?
A. 両方を設置しなければならない事業場では、それぞれに代えて安全衛生委員会を設置することができます。実務ではこの形が一般的です。委員会は毎月1回以上開催し、議事の概要を労働者に周知するとともに、記録を3年間保存する必要があります。
Q. 常時50人以上の「常時」はどう数えますか?
A. 日雇労働者やパートタイム労働者を含め、常態として使用している労働者の数で判断します。繁忙期だけ一時的に50人を超えるような場合は含まれませんが、パートだからという理由で除外することはできません。
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