ひとことで言うと
受給権者が保険給付を受けないまま死亡した場合に、一定の遺族が自己の名で請求できる制度です。生計を同じくしていた最先順位者が請求します。
解説
未支給の保険給付とは、保険給付の受給権者がその支給を受けないうちに死亡した場合に、まだ支給されていない保険給付について所定の遺族が請求できる制度をいいます。請求できるのは、死亡した受給権者の配偶者・子・父母・孫・祖父母又は兄弟姉妹であって、死亡の当時その者と生計を同じくしていたもののうちの最先順位者です。
くわしく解説
請求権者の範囲と順位は次のとおりです。順位は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の並びで、配偶者には婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含まれます。いずれも受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたことが必要です。
重要なのは、これらの遺族が「自己の名で」請求するという点です。相続によって受け取るのではありません。試験では、遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡し、その者が死亡前に請求していなかったときは、他の遺族が自己の名でその遺族補償年金を請求できるという記述が正しいものとして出題されています。
なお、遺族補償年金についてはそもそも転給の制度があるため、転給後の受給権者がそのまま未支給の遺族補償年金の請求権者となります。
さらに、未支給の保険給付の請求権者が、その未支給の保険給付を受けないうちに死亡した場合には、その死亡した請求権者の相続人が請求権者となります。ここだけは相続の考え方が働きます。
混同しやすいのが、過誤払の調整である内払・充当です。未支給の保険給付は「まだ払っていない分を誰が受け取るか」の話であるのに対し、内払・充当は「払いすぎた分をどう相殺するか」の話です。特に充当は、受給権者の死亡後に過誤払が行われ、その遺族に死亡に関する保険給付が支給される場合の処理なので、場面が似ていて紛れやすくなっています。
具体例で考えよう
休業補償給付を請求しないまま亡くなった人がいた場合、同居していた配偶者が自分の名前でその未支給分を請求できます。相続人としてではなく、自己の名での請求です。
試験対策ポイント
請求できるのは配偶者(事実婚を含む)・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で、死亡の当時生計を同じくしていた者の最先順位者。自己の名で請求する。遺族補償年金は転給後の受給権者が請求権者となる。請求権者が受けないうちに死亡した場合はその相続人が請求権者となる
関連法令
労働者災害補償保険法11条、昭41.1.31基発73号
関連用語
「労働者災害補償保険法」の他の用語
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