ひとことで言うと
遺族補償年金の受給権者が失権したときに、次の順位の受給資格者が新たに受給権者となることです。労災保険にしかない仕組みです。
解説
転給とは、遺族補償年金の受給権者が死亡するなどして失権した場合に、次の順位の受給資格者が受給権者となることをいいます。公的年金の遺族給付には見られない、労災保険特有の概念です。
くわしく解説
遺族補償年金では、受給資格者が複数いても、そのうち最も順位の高い者だけが受給権者となり、年金を受け取ります。全員に分けて支給されるのではなく、最先順位者に一本化される仕組みです。
この受給権者が失権した場合、遺族補償年金そのものが終わってしまうわけではありません。次の順位の受給資格者が新たに受給権者となり、年金が続いていきます。これが転給です。
国民年金や厚生年金保険の遺族給付では、受給権者が失権すればそこで終わりであり、次の人に権利が移ることはありません。この違いは他科目との対比でよく問われます。
転給は他の論点にもつながります。未支給の保険給付について、通常は死亡した受給権者と生計を同じくしていた一定の遺族の最先順位者が請求権者となりますが、遺族補償年金についてはそもそも転給の制度があるため、転給後の受給権者がそのまま未支給の遺族補償年金の請求権者となります。
なお、受給権者以外の受給資格者が失権事由に該当した場合には、その者は受給資格者でなくなります。こちらは失権ではなく失格と呼びます。転給の順番を考えるときには、失格した者は候補から外れていることに注意してください。
具体例で考えよう
受給権者だった妻が再婚により失権した場合、次順位の要件を満たす子が新たに受給権者となり、遺族補償年金を受け取ります。妻の失権によって年金が打ち切られるわけではありません。
試験対策ポイント
転給は受給権者の失権により次順位者が受給権者となる労災保険特有の仕組み。公的年金の遺族給付には転給がない。遺族補償年金の未支給分は、転給後の受給権者が請求権者となる。受給権者以外の受給資格者が事由に該当した場合は失格
関連法令
労働者災害補償保険法16条の4第2項
関連用語
「労働者災害補償保険法」の他の用語
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