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厚生年金保険法

年金の6給付マトリクス|老齢・障害・遺族 × 国民年金/厚生年金を1枚で対応づける

3つの事由 × 2つの制度で6給付。上下で素直に対応するのは老齢だけで、差が出るのは障害と遺族の2行です。

老齢・障害・遺族の3事由と、国民年金(1階)・厚生年金保険(2階)の2制度をかけあわせた6給付のマトリクス表。障害の行は3級と障害手当金が厚生年金にだけあること、遺族の行は受けられる遺族の範囲が違うことを示している
年金の6給付マトリクスの図解

年金給付は数が多く見えますが、骨格は「老齢・障害・遺族」という3つの事由と、「国民年金(1階)・厚生年金保険(2階)」という2つの制度のかけ算にすぎません。6つのマスを埋めれば全体像は完成します。そのうえで得点を分けるのは、6マスすべてを均等に覚えることではなく、上下で対応が崩れる2か所を知っていることです。障害の行では3級と障害手当金が厚生年金にしかなく、遺族の行では受けられる遺族の範囲が大きく違います。この2点に絞って差分を押さえるのが、年金2法を最短で仕上げる道筋です。

① 老齢:上下が素直に対応する

老齢基礎年金は受給資格期間が10年以上ある人に65歳から支給され、額は保険料を納めた月数に比例します。報酬の多い少ないは関係ありません。一方の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給権があることを前提に、報酬比例で上乗せされます。ここには加給年金額という配偶者や子への上乗せがあり、在職中は在職老齢年金の仕組みで支給が調整されます。老齢の行は「1階=期間、2階=報酬」と覚えれば、対応関係で迷うことはありません。

② 障害:3級と障害手当金は厚生年金にしかない

ここが1つ目の差分です。障害基礎年金は1級と2級しかなく、3級は存在しません。これに対して障害厚生年金には1級・2級・3級があり、さらに3級より軽い障害には障害手当金という一時金まで用意されています。加算のつき方も逆で、障害基礎年金は「子の加算」、障害厚生年金の1級・2級は「配偶者の加給年金額」です。「基礎は子、厚生は配偶者」と対で覚えると混同しません。なお20歳前の傷病による障害基礎年金は、保険料を納めていない期間の傷病でも支給される特殊な仕組みで、所得による支給停止があります。

③ 遺族:受けられる遺族の範囲がまるで違う

2つ目の差分であり、こちらのほうが差は大きくなります。遺族基礎年金を受けられるのは「子のある配偶者」か「子」だけです。子のない妻は受けられませんし、父母・孫・祖父母も対象外です。しかも子が満18歳に達する年度末(障害の状態にあるときは20歳)を過ぎると失権します。一方の遺族厚生年金は、配偶者・子・父母・孫・祖父母までが対象で、この順に優先順位がつきます。先順位者がいる間、後順位者は受けられません。さらに、子のない妻を救済する中高齢寡婦加算という仕組みもあります。「基礎は子がいないと出ない、厚生は子がいなくても出る」が要点です。

④ 2階は1階に乗る、という順序を崩さない

どの事由でも、2階の厚生年金は1階の受給権があってはじめて出るのが原則です。老齢厚生年金は老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていることが前提ですし、遺族厚生年金も1階との組み合わせで支給額が決まる場面があります。図解「公的年金の全体像」で見た2階建ての構造が、給付の場面でもそのまま効いてくると理解してください。ただし障害の行だけは、障害基礎年金が2級までしかないため、3級の障害厚生年金は1階なしで単独に出ます。ここが順序の例外です。

⑤ どの給付にも保険料納付要件がある

障害と遺族については、初診日または死亡日の前日において保険料納付要件を満たしていることが必要です。原則は加入期間の3分の2以上が納付済みまたは免除であること、特例として直近1年間に未納がないことのいずれかです。マトリクスの6マスをいくら覚えても、この入口の要件を落とすと受給に至りません。表を覚えるときは「まず納付要件、それから給付の中身」という順で確認する癖をつけておくと、事例問題に強くなります。

試験対策のポイント

  • 3事由 × 2制度=6給付。上下で素直に対応するのは老齢の行だけ
  • 障害基礎年金は1級・2級のみ。3級と障害手当金は厚生年金にしかない
  • 加算は「基礎=子の加算」「厚生(1級・2級)=配偶者の加給年金額」で逆になる
  • 遺族基礎年金は「子のある配偶者」か「子」だけ。子のない妻・父母・孫・祖父母は対象外
  • 遺族厚生年金は配偶者・子・父母・孫・祖父母まで。先順位者がいれば後順位者は受けられない
  • 3級の障害厚生年金は、対応する1階がないため単独で支給される(順序の例外)
  • 障害・遺族はいずれも保険料納付要件(3分の2以上、または直近1年間に未納なし)が入口になる

よくある質問

Q. なぜ障害基礎年金には3級がないのですか?

A. 1階の基礎年金は「最低限の生活保障」を目的とした定額の給付なので、支給する範囲を重い障害(1級・2級)に絞っています。3級程度の障害は労働能力が一定程度残っている前提で、報酬比例の2階部分から補う設計になっています。そのため3級と障害手当金は厚生年金保険にだけ置かれています。

Q. 子のいない妻は、夫が亡くなっても何も受け取れないのですか?

A. 遺族基礎年金は受けられませんが、夫が厚生年金の被保険者だった場合は遺族厚生年金を受けられます。さらに一定の要件を満たせば中高齢寡婦加算が上乗せされます。また第1号被保険者だった夫については、寡婦年金や死亡一時金という国民年金独自の給付が用意されています。「1階の遺族基礎年金が出ない=何も出ない」ではない点に注意してください。

Q. 遺族厚生年金は、子・父母・孫・祖父母が同時に受け取れますか?

A. 受け取れません。配偶者・子・父母・孫・祖父母という優先順位があり、先順位者がいる間は後順位者に受給権が発生しません。なお配偶者と子は同順位ですが、配偶者が受給する間は子の分が支給停止になるのが原則です。

Q. 6つのマスは全部同じ重さで覚えるべきですか?

A. いいえ。老齢の行は上下が素直に対応するので、負担は軽くて構いません。試験で差がつくのは障害と遺族の2行、それも「3級と障害手当金の有無」「受けられる遺族の範囲」という2点に集中します。まずこの差分を確実にしてから、細かい要件に広げるのが効率的です。

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用語の詳しい解説は用語集で確認できます。

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