ひとことで言うと
懲戒として賃金を減らす処分には上限があります。1回は平均賃金1日分の半額まで、総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1までです。
解説
減給の制裁とは、就業規則に定めた懲戒処分として賃金を減額することをいいます。労働基準法91条により、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないという二重の制限がかかります。
くわしく解説
就業規則で減給の制裁を定める場合、その減給は次の2つの制限を受けます。
・1回の額 ― 平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
・総額 ― 1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない
「総額が10分の1まで」とは、1つの賃金支払期に複数の制裁事案が発生した場合でも、その期の減給の合計額が賃金総額の1割以内でなければならないという意味です。
通達で押さえるべき論点が2つあります。
1つ目は、ノーワーク分の賃金カットとの区別です。遅刻・早退・欠勤に対して働かなかった時間分の賃金を差し引くのは賃金計算の方法であって制裁ではありません。しかし、働かなかった時間分を超えて差し引く部分は制裁とみなされ、91条の制限を受けます。5分の遅刻を30分の遅刻として扱いカットする場合、超過の25分相当分は制裁として91条の枠内でのみ許されます。
2つ目は出勤停止との関係です。制裁としての出勤停止に伴い、停止期間中の賃金が支払われないのは出勤停止の当然の結果であって、91条の減給の制裁には該当しません。
なお、制裁(懲戒)は就業規則の相対的必要記載事項です。制裁を行うには、就業規則にその種類と程度を定めておく必要があります。
具体例で考えよう
平均賃金1万円の従業員が備品を私的利用して減給処分を受ける場合、1回の減給は5,000円までです。また月給30万円のその従業員が同じ月に3回処分を受けても、その月の減給合計は3万円を超えられません。
試験対策ポイント
1回の額は平均賃金の1日分の半額以内、総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1以内。ノーワーク分の賃金カットは制裁に該当しないが、それを超えるカットは制裁として制限を受ける。出勤停止中の賃金不支給は減給の制裁に該当しない
関連法令
労働基準法91条
関連用語
「労働基準法」の他の用語
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