ひとことで言うと
現物給付が使えない場面で、いったん全額を払ってからあとで請求する現金給付です。海外での受診が代表例です。
解説
療養費とは、療養の給付等を行うことが困難であると保険者が認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院等から診療等を受けた場合において保険者がやむを得ないものと認めるときに支給される現金給付をいいます。医療機関でいったん医療費の全額を支払い、その後に申請することで支給を受けます。
くわしく解説
いずれの場合も「保険者が認める」という判断が挟まる点が共通しています。被保険者が自分の都合で選んで療養費にできるわけではありません。
療養の給付を行うことが困難な場合の代表例が、事業主の被保険者資格取得届の提出の怠りにより、被保険者たる身分を証明することができない状態にあったため療養の給付等が受けられなかったときです。資格取得届が出ていなければ資格を証明する手段がないので、いったん全額を払い、あとから療養費を請求することになります。
もうひとつの代表例が海外での療養です。海外において被保険者が疾病にかかり又は負傷した場合、保険医療機関等を通じて保険給付を行うことは実質的に困難であるため、療養の給付等に代えて療養費が支給されます。このとき支払われるのは現地通貨ではなく日本円で、保険者が療養費の支給を決定した日のレート(外国為替換算率)を用いて換算します。支払った日のレートではない点が出題ポイントです。
なお、療養費として支給される額は日本国内で同じ治療を受けた場合の基準で計算されるため、現地でかかった費用が日本の水準を大きく上回っていても、その全額が戻るわけではありません。
療養費を受ける権利の消滅時効は2年で、起算日は療養に要した費用を支払った日の翌日です。
具体例で考えよう
入社した月に会社が資格取得届を出し忘れ、社員が病院で全額を支払った場合、あとから療養費を申請することで、本来保険でまかなわれるはずだった部分を受け取れます。
試験対策ポイント
療養費は❶療養の給付等を行うことが困難であると保険者が認めるとき❷保険医療機関等以外から診療を受け保険者がやむを得ないと認めるときに支給される現金給付。海外療養費の換算は保険者が支給を決定した日の外国為替換算率による。時効の起算日は費用を支払った日の翌日
関連法令
健康保険法87条、193条、昭3.4.30保理1089号、昭56.2.25保険発10号・庁保険発2号
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