社会保険一般常識 主要法律マップ|健保・年金の外側にある制度を1枚で把握する
本体科目の外側を埋める科目。医療/介護/年金の上乗せ/救済の4つで綺麗に割れます。

社一は労一と同じく法律の寄せ集めですが、こちらは支える対象で綺麗に割れます。健康保険に入らない人や高齢者を支える医療の制度、要介護状態を支える介護の制度、公的年金の2階の上に乗る上乗せの制度、そして処分に不服があるときの救済や子育て世帯への底支え。この4つです。健保・国年・厚年という本体科目を学んだあとであれば、社一は「その外側を埋める科目」として位置づけられます。本体との地続きを意識すると、独立した暗記科目に見えていたものが構造の中に収まります。
① 医療:健康保険に入らない人と高齢者
国民健康保険法は、自営業者や無職の人など被用者保険に加入しない人を対象とする制度で、保険者は市町村(都道府県とともに運営)と国民健康保険組合です。高齢者医療確保法は、前期高齢者にかかる保険者間の財政調整と、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度を定めています。後期高齢者医療の運営主体は都道府県単位の後期高齢者医療広域連合です。船員保険法は船員を対象とする制度で、職務外の疾病等を扱い、休業手当金や行方不明手当金といった独自の給付があります。
② 介護:保険者は市町村
介護保険法の保険者は市町村および特別区です。被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に分かれます。第2号は特定疾病が原因の場合に限って給付を受けられる点が第1号との大きな違いです。給付を受けるには要介護認定が必要で、市町村に申請し、介護認定審査会の審査判定を経て認定されます。市町村が独自に上乗せする市町村特別給付があることも押さえておいてください。
③ 年金の上乗せ:2階の上に乗る制度
確定給付企業年金法は、あらかじめ給付額を約束するタイプの企業年金で、規約型と基金型があります。確定拠出年金法は拠出額を決めて運用は加入者が行うタイプで、企業型年金と個人型年金(iDeCo)に分かれます。給付額があらかじめ決まらず運用成績に左右されるのが特徴です。そして国民年金基金は、2階部分のない第1号被保険者のための上乗せ制度です。「2階がある人には企業年金、2階がない人には国民年金基金」という対応で覚えると位置づけが定まります。
④ 救済:不服があるときの2段階
社会保険審査官及び社会保険審査会法は、行政処分に不服があるときの審査請求の仕組みを定めています。健康保険・厚生年金保険・国民年金の被保険者資格や保険給付に関する処分については、まず社会保険審査官に審査請求し、その決定に不服があれば社会保険審査会に再審査請求する、という2段階の構造です。労災や雇用保険では労働保険審査官・労働保険審査会が担当するので、どちらの系統の話かを問題文で見分ける必要があります。
⑤ 底支え:児童手当と社会保障の沿革
児童手当法は子育て世帯への手当を定めており、財源に事業主からの拠出金が入っている点が社労士試験では重要です。また社一では、社会保障制度の沿革も問われます。昭和36年の国民皆保険・皆年金の成立、基礎年金制度の導入、介護保険の創設といった大きな流れです。加えて年金生活者支援給付金のような近年の制度も出題されるので、直近の改正には注意を払ってください。
◎ 試験対策のポイント
- ▶国民健康保険の保険者は市町村(都道府県とともに運営)と国民健康保険組合
- ▶後期高齢者医療の運営主体は都道府県単位の後期高齢者医療広域連合
- ▶介護保険の保険者は市町村および特別区。第1号は65歳以上、第2号は40〜64歳の医療保険加入者
- ▶介護保険の第2号被保険者は特定疾病が原因の場合に限り給付を受けられる
- ▶確定給付企業年金は規約型と基金型、確定拠出年金は企業型と個人型(iDeCo)
- ▶国民年金基金は2階のない第1号被保険者のための上乗せ
- ▶社会保険の不服申立ては社会保険審査官 → 社会保険審査会の2段階
- ▶児童手当の財源には事業主拠出金が入っている
よくある質問
Q. 介護保険の第2号被保険者は、どんな場合でも給付を受けられますか?
A. 受けられません。40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、加齢に伴って生ずる特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合に限られます。交通事故によるケガなどでは対象になりません。第1号被保険者は原因を問わない点と対比して覚えてください。
Q. 社会保険審査官と労働保険審査官はどう使い分けますか?
A. 扱う制度で分かれます。健康保険・厚生年金保険・国民年金など社会保険系の処分は社会保険審査官(再審査は社会保険審査会)、労災保険・雇用保険など労働保険系の処分は労働保険審査官(再審査は労働保険審査会)です。問題文でどの制度の処分かを確認すれば判別できます。
Q. 確定給付と確定拠出は何が「確定」しているのですか?
A. 確定給付企業年金は将来受け取る給付額があらかじめ決まっており、運用リスクは事業主が負います。確定拠出年金は毎月拠出する額が決まっているだけで、給付額は運用成績によって変わり、リスクは加入者が負います。「何が約束されているか」で区別してください。
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